概要
J.W.ワイルダーによって開発された代表的なトレンド系指標です。
Parabolic Time Price System、Parabolic SAR等とも表記されます。
サインが明解ですので扱いやすい指標ですが、トレンドレス局面ではほとんど機能しませんので他の指標でトレンドの強さを確認した上で使用する等の工夫が必要です。
計算式
日足を例に説明します。
計算に使用する基礎データは4本値のうちの高値、安値、終値です。
それらのデータと前日の
TREND(トレンド判定用項目)、
AF(Acceleration Factor 加速因子)、
EP(Extreme Point 極大値)、
SAR(Stop and Reverse point パラボリック値)
から当日のTRENDを決定します。
ということで初日と2日目以降は計算式が異なります。
なお、
AFについては通常、初期値と加算値は0.02、
最大値は0.2が使用されますので、
以降の説明ではそれらの数値を固定値として使用していますが、
変化させたいのであればパラメータとして設定して下さい。
項目ごとに説明していきます。
TREND
初日
IF 当日終値 > 前日終値
当日TREND = 1
ELSE
当日TREND = -1
ENDIF
2日目以降
IF 前日TREND= 1
IF 前日SAR>当日安値
当日TREND= -1
ELSE
当日TREND= 1
ENDIF
ELSE
IF 前日SAR<当日高値
当日TREND= 1
ELSE
当日TREND= -1
ENDIF
ENFIF
EP
初日
IF 当日TREND = 1
当日EP = 当日高値
ELSE
当日EP = 当日安値
ENDIF
2日目以降
IF 当日TREND = 1
IF 前日SAR > 当日安値
当日EP = 当日安値
ELSE
当日EP = 当日高値と前日EPのうち大きい数値
ENFIF
ELSE
IF 前日SAR < 当日高値
当日EP = 当日高値
ELSE
当日EP = 当日安値と前日EPのうち小さい数値
ENDIF
ENDIF
AF
初日
当日AF = 0.02
2日目以降
IF 当日TREND = 前日TREND
IF (当日EP <> 前日EP)かつ(前日AF < 0.2)
当日AF = 前日AF + 0.02
ELSE
当日AF = 前日AF
ENDIF
ELSE
当日AF = 0.02
ENDIF
SAR
初日
IF 当日TREND = 1
当日SAR = 前日高値
ELSE
当日SAR = 前日安値
ENDIF
2日目以降
IF 当日TREND = 前日TREND
当日SAR = 前日SAR + (当日EP - 前日SAR) × 当日AF
ELSE
当日SAR = 前日AF
ENDIF
計算式(EXCEL)
AFに関しては、通常、初期値と加算値は0.02、最大値は0.2が使用されますが、変更したい場合もあるかもしれませんので変数にしてあります。
活用例
●ローソク足の上に位置していたSARがローソク足の下に位置したら買い、下に位置していたSARがローソク足の上に変化したら買いポジションを決済し、ショート(売り)ポジションをとる
というような連続したトレードを想定した指標です。
(このように常にどちらかのポジションをもつ取引方法を途転(ドテン)と言います。)
システムの場合は、
TRENDが-1から1になったら買いポジション、1から-1に変化したら売りポジションをとることになります。
トレンドの強い局面では有効に機能する指標ですが、冒頭のチャートのようなトレンドレスのレンジ(保ち合い)局面でサイン通りに売買を続ければあっという間に損失が膨らんでしまう可能性があります。
そうならない為には、
途転はやめて、
価格が長期移動平均線の上に位置する場合(上昇トレンド中)はポジションを持つのは買建のみ、売りサインが出た場合は決済のみで売りポジションは持たず、価格が長期移動平均線の下に位置する場合(下降トレンド中)は売建のみ、買いサインが出た場合は決済のみで買いポジションは持たない
というような取引方法にしたり、
移動平均線の傾斜、変動幅、標準偏差等でトレンドの強さや勢いを判定し、トレンドレスと判定した場合はサインを無視する
等の工夫が必要となってきます。
移動平均線の傾斜、変動幅、標準偏差等でトレンドの強さや勢いを判定し等と簡単に言っていますが、デジタルの世界ではその判定自体がかなり困難です。
相場は小さな波や大きな波の複合体、その時々で周波数、波長、そして振幅も異なりますから、何をもってトレンドレスと判定したらいいのか、運営者も未だに試行錯誤している段階です。
まとめ
トレンドの強い局面限定ということであればトレンドフォローエントリーのトリガーとして使える指標です。