シストレのパフォーマンス評価、合格点の目安はどれくらい?

システムトレード

シストレに関わってからたまに頭に浮かんでくる疑問がありました。

シストレのパフォーマンスの合格点はどれくらいなんだろうか?

とか、

それぞれのパフォーマンス指標、どの程度の数値を目指せばいいのだろうか?

とか。

しかし、これまでは思えどもそれほど深くは考えず。

より良いパフォーマンス評価数値をたたき出してくれるシステムを創り出すことを最優先に開発を続けてきました。

まあ、それ自体は悪い事ではないのですが、

そのせいで本来の目的であるはずの「利益を上げる」という部分をおざなりにしてきてしまった感があります。

シストレは運用してなんぼであるはずなのに、肝心の運用が片手間。

よりよいシステムを創出することは本来、手段であるはずなのにそれが目的となってしまっていたわけです。

もっと早い段階でパフォーマンス評価数値の適正値を把握できていれば、ある程度のところで妥協し、いかにすれば既存システムを有効利用して成果を上がていけるかということに注力できていたかもしれません。

そして実現性の低い見果てぬ夢を追うことで費やしてしまった時間と労力を失わずに済んだのかもしれません。

結果論ですが。

開発のアイデアもほぼ出し尽くし運用に重点をおくことになった今、一区切りをつけるために運用時のメンタルも考慮した上での各システム評価指標の目標とすべき数値はどれくらいなのかを考察してみることにします。

日経225先物ターゲットシステムが前提です。

利益率(利回り)

まずはリターンということで利益率から。

シストレのリアルマネーコンテストと言えば、「World Cup Trading Championships」(略称WTC、通称ロビンスカップ)。

各年度の優勝者の利益率の一覧がWilipediaに掲載されています。

まず、その一覧を参考に目指すべき利益率(利回り)を推し量ってみようかと思います。

下記がその一覧です。

優勝者 利益率 部門
1984 Casazzone, Ralph 264% 先物
1985 Casazzone, Ralph 1283% 先物
1986 Thayer, Henry 231% 先物
1987 Williams, Larry 11376% 先物
1988 Kline, David 148% 先物
1989 Lundgren, Mike 176% 先物
1990 Lundgren, Mike 244% 先物
1991 Kobara, Thomas 200% 先物
1992 Lundgren, Mike 212% 先物
1993 Hedreen, Richard 173% 先物
1994 Suler, Frank 85% 先物
1995 Minogue, Dennis 219% 先物
1996 Rentsch, Reinhart 95% 先物
1997 Williams, Michelle 1000% 先物
1998 Park, Jason 99% 先物
1999 Hughes, Chuck 315% 先物
2000 Sakaeda, Kurt 595% 先物
Garner, Steve 24% 株式
2001 Cash, David 53% 先物
Jacobs, Larry 3% 株式
2002 Holsinger, John 608% 先物
Jensen, Tom 71% 株式
2003 Int’l. Capital Mngt 88% 先物
Stearns, Jeff 245% 株式
2004 Sakaeda, Kurt 929% 先物
Rayment, Tim 63% FX
Matar, Ash 26% 株式
2005 Twardus, Ed 278% 先物
Hughes, Chuck 30% 株式
2006 Davey, Kevin 107% 先物
Holsinger, John 18% FX
Zhang, Wenchen 73% 株式
2007 Cook, Michael 250% 先物
Sakaeda, Kurt 104% FX
Goldberg, Ken 121% CME E-mini (3Q)
Sorota, Richard 61% CME E-mini (4Q)
Hughes, Chuck 229% 株式
2008 Unger, Andrea 672% 先物
Mitchell, Rob 57% CME E-mini (1Q)
Rea, Tim 83% CME E-mini (3Q)
Sorota, Richard 25% CME E-mini (2Q)
Sorota, Richard 21% CME E-mini (4Q)
Johnson, Bryan 48% 株式
2009 Unger, Andrea 115% 先物
Rayment, Tim 44% FX
Hughes, Chuck 122% 株式
2010 Unger, Andrea 240% 先物/FX
Sakaeda, Kurt 22% 株式
2011 Rea, Tim 104% 先物/FX
2012 Event Ending 7-6-12
Kinkle, Cary 199.60% 先物
Armstrong, William 67% 先物
Swiontek, Allen 56.60% 先物
2012 Q4 Event
Unger, Andrea 82.80% 先物
Ma, Archie 20.50% 先物
Schwab, Jason 10.20% 先物
2013 Grimsley, Victoria 160% 先物
2014 Denlinger, Alexandre 716.80% バイナリーオプション
Wirz, Andreas 164.80% FX
Cook, Michael 366% 先物
2015 STORM LLC 107.80% FX
Chuck Hughes 309.10% 先物
2016 Luke Lewandowski 156.90% FX
Artur Teregulov 914.80% 先物

ロビンスカップと言えばラリーウィリアムズの1987年の偉業。

1万ドルを約110万ドルに増やして優勝しています。

約110倍、たった1年で、ミラクル、口があんぐり、全く想像がつかないレベルです。

具体的なパフォーマンス評価指標の数値を知りたいとググってみましたが残念ながらつかめず。

まあこの数値は全く参考にならないので最低の利益率3%と共に異常値として省き、その他のデータで利益率の平均を出してみると、、、

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1000%に近い数値が目立っていたので、もう少し高めかなと思ったのですが以外に低い数値です。

腕に自信のある人たちが参加している大会、かつ各年度の優勝者の数値の平均でこの数値ですから、、、

われわれ素人が少なくとも数年間の平均年利回りとして目指すべきところは50~60%、欲を言って100%というところが落とし所でしょうか?

勝率、PF、POR、平均利益、取引数等

これらの指標は単独でみてもあまり意味がありませんので、他指標との関連性を見ながらということになります。

前提条件次第でかなりブレてしまいますが、

そこを敢えてということで、

勝率

投資の世界では「9回負けても、次の1回で大勝すればいい」的な文章をたまに見かけますが、シストレの世界ではナンセンスな話です。

そのようなシステムではまず運用を継続できません。

PORがあまり低過ぎては意味がありませんが、運用時のメンタルを考えれば一定以上の勝率は必要不可欠。

損失を出した時のメンタルダメージは利益を得た時の高揚感の2倍前後と言われています。

額を考慮せず勝敗だけを考えるなら66%前後あれば、それほどメンタルダメージを受けずに運用を継続できるということになります。

しかし、現実的には長期間の運用平均で66%前後はかなりハードルの高い数値。

理想的な数値ではありますが、ある程度の取引数を維持した上でかつ長期間の平均という前提では個人的には到達できない世界だと思っています。

開発当初は、例えば1年の営業日が245日として最低200日くらいは参戦した上で、数年間の平均で勝率65%前後のパフォーマンスのシステムであれば作れるのでは思っていました。

しかし、80%前後参戦してしまうとどうやっても58%がほぼ限界。

結局、そこから勝つ確率の低そうな局面での参戦を抑制し、参戦率を30%~40%にしてやっと60%前後の勝率を確保しているような状況です。

運営者がプロジェクトで運用している3システム共、年単位では上下10%程度のブレは出ていますが、長期的な平均としては60%前後です。

勝つ確率の高そうな局面のみで参戦しても10回戦って4回負けてしまう。

もう少しなんとかなりそうな気もしてあ~だこうだと奮闘してみましたが、あと数パーセントの上乗せのハードルは高く実現できずでした。

局面がそれなりに強い上昇トレンドと判断して買いに入ったと仮定。

結果的に方向は間違っていなかったとしても、一時的に下げられて損切に遭遇してしまえば負け、いったん含み益が出ても確定できずに逆に動かれ損切に遭遇でも負け、さらに上昇トレンドの終末期のエントリーも負けの可能性が高いですから、10回の参戦で4回の負けは致し方ないところのような気がします。

ということで、

参戦を厳選した上での60%前後の勝率

個人的には、一つの目安になるのではないかと思っています。

その際、PORが低過ぎては意味がありませんので、通年平均でPOR1.0以上、できればPOR1.3前後を維持した上でという前提で。

POR(ペイオフレシオ:平均利益/平均損失)

手数料を考慮しなければ、勝率50%、POR1.0で収支はトントン。

PFが一定とすれば勝率とPORはトレードオフの関係にあります。

どちらかが低率でも、もう一方がかなり高率であれば、利益を確保できるわけですが、やはり目指すところは平均値より少し上の数値。

既に勝率のところで1.3前後という数値をあげています。

勝率もPORも5分5分より少し上を目指す。

バランスのとれたシステム作りの肝だと思います。

PF(プロフィットファクター:総利益額/総損失額)

最低PFは2.0以上は欲しいという記述も見かけますが、個人的には2.0前後は長期的にみた平均値としてはほぼ限界値です。

総利益額が総損失額の倍程度、目標値は2.0前後

既述の通算平均でPOR1.3前後を維持した上での勝率60%前後という目安、

PFとしては2.0前後です。

平均損益と取引数

総損益 = 平均損益 × 取引数

平均損益はより大きく、取引数はより多くが理想ですが、そううまくはいってくれません。

平均損益と取引数は完全なトレードオフ関係というわけではありませんが、それに準じた関係にあります。

システムの質、堅牢性という観点からすると優先すべきは平均損益です。

勝てる可能性の低いトレードを極力回避、それに伴い総損益がある程度減少するにしても、より大きい平均損益を追求すべきです。

具体的には、

平均損益の目指すところは長期間の平均で30~40円前後、私見ですが20円以下のシステムで戦っていくのはかなりつらいと思います。

取引数に関しては、既述の各指標の目標値を維持した上でより多くが理想です。

しかし、既述の各指標の目標値を目指そうとすると、必然的に、取引を絞りざるを得ず、結果的には1年の営業日が240日前後として、その半分の120日程度以下に絞られてくるのではないかと思います。

(最大)ドローダウンと(最長)フラット期間

この2つの指標に関しては、

どこまで許容できるかということですので個人差が大きく目安を設定することはなかなか難しいところです。

運用方法資金量メンタルの強弱忍耐力の有無等でかなり差異が出てしまう指標だと思います。

複利運用を前提としてみていきます。

まず最大ドローダウン

海外トレーダーの書籍には30%程度まで、

なかには50%程度まで受け入れるという記述もあったように思います。

個人的にはそこまでは絶対に無理、たぶん25%程度が限界値です。

できれば20%以内に収めたい。

ですのでバックテストの資金管理シミレーションでは本番での+αを前提に余裕をもって15%程度で収まるように投資配分を設定しています。

次に最長フラット期間

システム運用継続を左右する難敵、フラット期間。

できれば100日以内が理想ですが、

残念ながら1システムでの運用でこの数値を実現できるものはマイシステムにはありません。

営業日ベースで150日位から長いものですと200日超えもあります。

カレンダーベースですと210日~、

この間、

せっかく登った山を下り、

また同じ道を登らされるという繰り返し。

その徒労感、虚無感たるや、、、

単体システムでの運用が難しい理由の一つです。

ということでポートフォリオを組んで運用することでなんとかフラット期間短縮を実現しています。

まとめ

以上、独断と偏見でもって各指標の目安値を設定してみました。

見返してみると根拠の希薄な数値設定もありで、一般的に通じるものかどうかはわかりません。

あくまでも参考値として捉えていただければと思います。

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