本ページではシステム作りの際に参考になる本を目的別にご紹介させていただきます。
現在ではネットでほとんどの知識を得られますが、システムトレードの土台作りのためには本で体系的に学んでいくことも必要です。
まず、本で基礎を固めよりどころを作った上で、実際の作業上で出た疑問等はネットを有効利用して解決していくというスタイルがベストかと思います。
(注)中古でしか手に入らないものもあります。
トレード全般について学ぶ
投資の王道(日経BP社、新井邦宏(著))
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投資全般について学べます。
・テクニカル指標の概要
・テクニカル分析
・ローソク足の見方
・トレンドの見方
・グランビルの法則、エリオット波動等のチャートパターン
・ファンダメンタルについての考え方
・相場の心理
etc.
この一冊でトレードの基礎に関してはほぼ把握できるかと思います。
テクニカル指標の読み方・使い方(日本実業出版社、伊藤智洋 著)
テクニカル指標に関しては「投資の王道」にもかなり詳しい記述がありますが、株価の動きの法則や各テクニカル指標の特徴や使い方について詳細かつわかり易くまとめられています。
ローソク足チャートの読み方(日本実業出版社、小澤實(著))
ローソク足パターンをデジタルの世界でパターン化することはかなり困難です。
ということで実際にシストレの戦略に取り入れられるかどうかとなると難しいとは思うのですが、パターンが形成される際の集団心理等の記述もありトレーダーとして一読しておいて損はない本だと思います。
バーンスタインのデイトレード入門 バーンスタインのデイトレード実践(PanRolling、ジェイク・バーンスタイン(著)、長尾慎太郎(監訳)、岡村桂(訳))
対象が米国のマーケットですから掲載例等でピンとこない部分もありますが、入門編では主にデイトレの考え方やデイトレの心理学、実践編では各戦略について学べます。
但し、どの戦略本でもそうですが、戦略説明時に使用されている例はその戦略がピッタリ当てはまった局面のもの。
一つや二つの戦略ですべての局面に対応することは不可能です。
この本の戦略はブレイクアウト系が多いのでトレンドの強い局面ではそれなりに有効ですが、トレンドレスな局面ではこれらの戦略では戦えません。
ブレイクアウト系のエントリートリガーとしてどのような戦略があるかを知るにはいい本だと思います。
FXストレスフリートレード術(アールズ出版、ついてる仙人(著))とFXチャートリーディングマスターブック(ダイヤモンド社、井上義教(著))
チャートの読み方に関してはFXも225も変わりませんので売買ルール構築の際に役立つと思います。
投資行動・相場心理について学ぶ
トレーダーにとって投資行動や相場心理についての学習は必須です。
ヒューリスティック(直感)に頼り過ぎてしまう、
バイアスにとらわれてしまう、
損失を先送りしてしまう等
のマイナスの行動をなぜとってしまうのかを学び、それらの弱点を克服していかない限り勝利者にはなれません。
システムトレーダーはそのような行動上の弱点の排除をトレードをシステム化することで実現していくわけですから、システムトレーダーにとってはメンタルな分野の学習は不必要と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはシステムトレーダーこそ高度のメンタルマネジメントが要求されると言っても過言ではありません。
サイン発信の部分はメンタルな部分を排除したシストレですが、システムを運用するのはあくまでも生身の人間です。
ロボットで運用するにしてもロボットを稼働するか否かの判断を下すのはやはり人間です。
シストレの辛いところはどんなに厳しい局面が続いても、撤退条件に引っかからない限りシステムを運用し続けなければならないところです。
裁量の場合は「不調だから少し休もう」という選択がありますが、シストレの場合はそれは許されません。
メンタル的には楽そうなシストレですが、運用フェーズでは裁量トレード以上の心理的負担がかかります。
運用を継続していくためには適切なメンタルマネジメントが必須です。
投資行動や相場心理について学んだ事はメンタルをコントロールする際の一助となるはずです。
ゾーン(パンローリング マーク・ダグラス 著 世良敬明 訳)
相場心理学の名著です。
「感情面のリスクを排除する」という項にトレードに対する5つの基本的真実という記述があります。
1.何事も起こり得る。
2.利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない。
3.優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する。
4.優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているにすぎない。
5.マーケットのどの瞬間も唯一のものである。
システムを運用していると要人の無責任かつ不用意な発言のために、突然、相場が動き乱高下、そのせいで損切に追い込まれた後、値が元に戻る等の理不尽なことに度々遭遇します。
以前はその度に怒り心頭、怒髪天を衝く状態に陥っていました。
本書に出会ったおかげもありで、徐々に「何事も起こり得る」と負けを素直に受け入れることができるようになってきた次第です。
と言っても、悟りの境地にはまだまだ達していないので、「また、余計なことを」と一瞬ムッとはしてしまいますが。(笑)
また、3番目と5番目の「優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する。」と「マーケットのどの瞬間も唯一のものである。」は、一つ一つのトレードに一喜一憂してしまう愚かさを教えてくれています。
実戦に突入すると実際に一回一回のトレードで残高が加減してしまいますから、どうしても1トレードに固執してしまい一喜一憂しがちです。
しかし、1トレードの勝ち負けはランダム。
1トレードの結果に心を動かすことは全く無意味、それどころかメンタル的には百害あって一利なしです。
そのようなことを続けていれば次第にメンタルがやられついには運用中止という結果になりかねません。
心理的負担軽減のために取り組んだシストレだったのですが、最近、つくづく思います。
「裁量トレードよりもシストレの方が心理的負担が大きいな。」と。
そして、
「シストレこそメンタルの学習とメントレが必要だな。」と。
メンタルマネジメントを確立していくためには欠かせない1冊だと思います。
行動意思決定論(白桃書房 M.H.ベイザーマン/D.A.ムーア 著 長瀬勝彦 訳)
トレードに限らず、誤った意思決定をしてしまう原因の一つがバイアス(bias:偏り、偏った見方)の存在です。
正しい意思決定をするためにはネックとなるバイアスを排除してやる必要があります。
そのためには、
まず自分がどのようなバイアスに囚われやすいのかを分析・把握し、その排除方法についても学んでおかなければなりません。
本書では多種多様なバイアスについて、具体的な例を上げて詳細な説明がなされており、それぞれのバイアスに対する対処法についても提示されています。
この本は国内の某MBAコースの教科書としても採用されており、ビジネス書としても一読する価値のある本だと思います。
システムトレード全般について学ぶ
最近はシストレに特化した本がかなり出版されるようになってきました。
シストレのアウトラインを把握するため、売買ルールや戦略のヒントを得るため、そしてシストレに対するモチベーションを上げるためにも一度は目を通しておきたいものです。
システムトレード 検証と実践(パンローリング ケビン・J・ダービー著)
マーケットの魔術師 システムトレーダー編(アート・コリンズ 著)
実績を残している14人のシステムトレーダーの手法や考え方等が紹介されています。
エクセルの関数とVBAについて学ぶ
Excel関数大事典(インプレス 羽山博(著)、吉川明広(著)、できるシリーズ編集部(著))
できる大事典 Excel VBA(インプレス、国本温子(著)、緑川吉行(著)、できるシリーズ編集部(著))
ロボットの部分を構築する際にはVBAの細かい部分も要求されますから事典タイプは必須です。
Excel VBA 逆引き辞典パーフェクト(翔泳社、田中亨(著))
自動売買用ロボットシステムを構築する際には少々面倒な処理を組み入れなければなりません。
その際の戦力になってくれます。
著者はエクセルのエキスパートです。
Excel VBA 本格入門(技術評論社、大村あつし(著))
プログラムを組むのが初めての場合は、まず、このような本でプログラムの流れ等アプリケーション開発の基礎知識を習得しておいた方がよろしいかと思います。
エクセルによるシステム作りを学ぶ
Excelで学ぶ株式投資」(オーム社、藤本壱(著))
残念ながら中古でしか手に入らないようですが、標題そのまま、株式投資の基礎、主要テクニカル指標のエクセルでの表現式とチャートの作り方、そして簡単な売買用コーディング等を学べます。
エクセルの操作に関してはエクセルのバージョンの問題で現在では通用しないものがあるかもしれませんが、エクセルによるシステムトレードの考え方を学ぶには良書だと思います。
自動売買についての記述はありません。
実践システムトレード入門」(日本実業出版社、山本哲也(著))
Excelシートを利用したいくつかの売買モデルが紹介されています。
ターゲットはFX、日経225先物、個別株。
データの取得方法、売買モデル構築の手順、システム評価等システム構築の一連の流れの概要が掴めます。
本で紹介されている売買モデルは参考程度に。
これだけでは勝てません。
表紙に副題で「データ取得・検証・自動売買モデルの作成まで」とありますが、ここで言う「自動売買」はリアルデータを取得して売買判定を行い証券会社に注文を行うという意味の自動ではなく、あくまでもシート上で自動計算されて売買サインが出るという意味合いです。
自動売買ロボットについての記述はありません。
FXシステムトレード儲ける投資術」(日本実業出版社、池田悟(著))
ターゲットはFXですが、
いくつかの売買モデルが掲載されており、システム構築時の参考になります。
ただし、
くどいようですが掲載されている単純な売買モデルだけでは長期に渡り利益を上げることは不可能です。
自動売買システムの作り方を学ぶ
VBAで極める株式システムトレード」(技術評論社、井領邦弘(著))
数少ない自動売買ロボットに関する本です。
Excel VBAでIEを思いのままに操作できるプログラミング術(インプレス、鈴木伸矢・植木悠二・上田寛(著))
証券会社に自動で発注する際の一方法、「VBAによるIE操作」を体系的に学べます。
ちなみに、IE操作に関しては下記のサイトが有効な情報を発信してくれています。
・三流君VBAでIE操作 InternetExplorer.Applicationを操作する
HTML&CSS&JavaScript辞典(秀和システム、大藤幹・半場方人(著))
証券会社の注文画面をIE操作する場合やスクレイピングをする際には画面の分析が必要となり、その際HTML等の基礎知識が必須です。
まとめ
以上、
中古でしか手に入らない本もありますが、内容のわかりやすさにフォーカスしてチョイスしてみました。
今後もいい参考書を見つけた場合は追記していきたいと思います。